講師:NPO法人がん政策サミット 理事長 埴岡 健一 氏
「近畿がん政策サミット」おめでとうございます。
今日こうした会が、こうしたメンバーで開かれているのはすごいことじゃないかなと思います。
本当だったら、テレビで全国放送して皆さんに知ってほしいと思うんですけれども、こうした趣旨の会が開かれるって、すごくいいですよね。本当に、日本中に広がって行って頂きたいと思います。
何がこのがんサミットがいいかっていうのは、やはり、地域・現場からの発信ということだと思います。先ほど、ご来賓からのご挨拶ありましたけれども、地域でがん対策に取り組んでいらっしゃる当事者、考えるべき立場にある方、声を聞く立場にある方がいらっしゃって、もちろん会場フロアにもたくさんいらっしゃって、集まってる、と。
私どもは、東京でがん対策サミットをやっているんですけれど、それはそれですごくいいものなので、たくさんアピールはしたいんですけれども、やはり全国から集まっているので、地域地域の土地勘などまではないんですよね。
この川のあっち側だとか、あそこに山があるからとか、電車がちょっと不便になったとか、そういうことまではなかなか分からないんですよね、話していても。
でも、ここに集まっている皆さんは、滋賀県内であったり、近畿2府4県からであったりということで、だいたい土地勘がある。そして、先ほどからありますが、顔の見える環境にあるということです。
それから、もっと狭いエリアだったら、なかなかがん対策に知恵がないということもあると思うんですけど、この2府4県が集まると、二次医療圏も43ぐらいあるので多様性もありますし、それぞれ得意なところもあるんですよね。
私は国語が得意だとか、私は算数が得意だとか、私は音楽が得意だとか、何か得意技があるということで、知恵も交換できるし、好事例も持っていると。苦手もあるけど得意もあるよ、ということです。
なお、この中でいろいろ知恵を交換すると、いろいろ均てん化、すなわちみんなが得意になっていく、いい結果を生むということが進んでいくんじゃないかということだから、素晴らしいと思います。
今日のお話なんですけれど、手元に資料お配り頂いていますけれども、ちょっと構成の順番を変えました。お手元の資料で4パートになってる一番後ろにあります現状と課題から話していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まずですね、抽象的な能書きを言う前に、現状のファクトを見ておきたいと思っております。これ、近畿2府4県のがんの死亡率を示した表です。
これ、男性の死亡率ということで、緑のところが良くて、黄色が良くないところです。例えば、滋賀県はがんの死亡率全国で46位ということで、ベスト2というところです。
女性は41位ということです。一方で、大阪はワースト7位とワースト9位、和歌山県はワースト4位ということで、悪くなっています。ただ、良く見ていただくと、緑のところでも、黄色もあるんですね。例えば、滋賀県でも、がん種によってはワースト6のようなところもあります、ということです。
ですので、みんな、得意・不得意があります。滋賀県も、肺がんの女性・男性と、悪いところもあります。こういう風に、まず、地域地域の現状について全体としてどうなのか。特にどこが問題を抱えているのか。それから、全体がそんなに悪くなくても、実は胃がんの死亡率がすごく低い、あるいは大腸がんの死亡率がすごく高い。足すとすごく普通になって見えて、問題が見えなくなっていたりするところがあるので、自分の地域はどこが悪いかをピンポイントで見ていくのが大事だという風に思います。
こういう黄色いところが自分たちの地域にないかが、大事だと思います。
それから、次のスライドですね。2府4県の、医療圏別の標準化死亡比という、死亡率を示す数値を見ております。全国に344の医療圏があるんですけれど、赤い印はワースト50、51から100がオレンジなので、赤とかオレンジがあるとちょっと心配ということになります。
これ、近畿2府4県を並べています。文字は読めなくていいんです。
これは、視覚的に見えるようにしているので。これは全部のがんです。要するに、このように赤いマークがあると、よろしくないです。そこを着目していただくと。で、これはがん種を見ると、胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がんの順に並んでいます。なので、近畿は結構、肺がんに関して赤いマークが多いですね。
和歌山県、大阪、それから滋賀でも赤いマークがありますよね、というところです。で、大事なのは、大体、その赤いところが少ないところでも赤いところがぽつんとあったりするということ。うちの県は大丈夫よ、とか言っていると自分で住んでいる医療圏はすごく悪かったりするので、よく注意する必要があります。
これからは、地域で何のがんが自分のところで悪いのか、そのがんに関しては何が有効だと考えられているか、などを検討していくのが大事かと思います。
今、がんの死亡率という結果を見ていたんですけれども、次は、行われている医療行為を見ましても、ずいぶん差があります。
これは、近畿2府4県43医療圏の人口当たりの手術件数なんですけれども、住んでいる医療圏によってずいぶん手術件数が違います。これは、医療資源が少ないところは街の方に移動して医療を受けているからかもしれません。
その際には、全国の数値と、滋賀県なら滋賀県の合計、各県の合計もありますので比べていただくといいんですけれど。これは、ちょっとお手元の資料に入らずに、今朝足した資料です。後で、欲しい方は言って頂ければお送りします。この様に差があります。で、県平均が全国に遜色ないのか、医療圏ごとに少ないところは、患者さんがちゃんと移動して治療を受けられているか、そういうことを確認が必要かもしれません。
これは、化学療法の行われている件数です。ゼロのところもあるので、近くのところに適切に行けているか、確認が必要です。県全体の合計として遜色がないかも確認が必要です。
次は医療スタッフの数になるんですけれど。病理医は少ないとよく言われたり、さらに偏在もあると言われたりしていますが、2次医療圏別で人口割で見ても、こんなに差が出てきています。
全体的に少ない中でさらに極めて少ないところもありますので、そういう地区に住んでいる患者さんが、ちゃんと遠隔でもちゃんと適切な病理検査が受けられているかどうか、確認していただくことも必要なのではないかと思います。
それから、薬物療法の専門医、ここの左の方がずっと白地になっているんですけれど、これ私の入力ミスとか消えているんじゃなくて、ゼロゼロゼロが続いているところなんですけれども。こういう偏在になっていますので、これも繰り返しになりますけれど、ちゃんと、そういう地区に住んでらっしゃる方が、ちゃんと適切な医療機関にかかって、質の高い専門医にかかって、質の高い医療を受けられているか、確認することが必要になってきます。
ここまで見ていただいてわかるように、県によって、ある特定のがんによって死亡の状況も違う。それはおそらくかかる数である罹患も違うし、生存率も違う可能性がある。生存率に影響を与えているものとして、行われている治療の内容が影響を与えている可能性もある。
それを行う医療スタッフ、資源が差を与えている可能性もあるということですので、さっき見た赤とかオレンジの多い地域は、こうしたことが何か良くない影響を与えてないか、そういうことを補っていかなきゃいけないことがないかどうか、皆さんで、こういう集まりで、確認していくことが必要だということではないでしょうか。
地域別の活動の温度差を見てみますと、予算というものがあります。これは、2008年度から13年度の、やや古くなりますけれども、がん対策予算の推移を見たものです。
例えば、滋賀県ですと、この頃は年々すごく少なかったんですけど、こちらにいらっしゃる議員の先生方、行政の方々、もちろんそれを応援した住民の方々、あるいは医療者の皆様の取り組みできれいに伸びて来ているんですね。この後がどうなったかは、ここにデータはありませんけれども。兵庫県の値はどんと増えましたけれど、また減ったりとか、奈良県は増えたり減ったりとか、といったようなところです。
お金が全てではありませんけれども、がん対策に熱を入れてるかどうかのバロメーターでもありますので、これも地域で確認していく必要があるかもしれません。
それから、今日の会の趣旨は、いろんな立場が参加して、そして、患者さんを中心にみんなで一緒に考えようということだと思うんですけれども、都道府県によって、患者さんの参加の数が違います。
大阪がないのは、大阪のデータが未回答なのですけれども、がんの協議会と連携協議会開催回数ですとか、患者さんの委員の数で、数が違います。
がんの協議会は、滋賀県は5人のメンバー、京都は6人のメンバー、というような形で参加されています。その部会に、滋賀は6人、京都はゼロ人…こうした形で参加されています。連携協議会もこのような状況です。
これを足してあげますと、滋賀県は20人の患者関係者が会議に入って意見が述べられる。決定に参加できる。一方、他の県はこういう状況というところです。逆に、京都や兵庫など全部が20人になると、まだまだ皆様方の活躍の余地があるということかもしれません。
これまでのところを整理しますと、要するに2府4県が集まっても、ずいぶん得手不得手があるということです。
一つは、アウトカムの側面、死亡率とか生存率とか患者満足度を見ても、ずいぶん差があると思います。
それから、次は、プロセスである治療の数ですとか、どういう治療内容が行われているか、についても、地域格差があると思います。
そして、医療専門家の数ですとか、そうしたことでも差があります。これを皆さんでよく見ていただいて。もし、今見たようなことを計ると、この図のようになると思います。
何とか県では成果がこの辺で、こっちの県の方が高いよ、とかですね。あるテーマに関して、この緑のところ、成果を見ると高い低いが出てきますし、違うテーマで見れば、こっちの低い県が逆に高かったり、ということになりますね。
そうすると、テーマBについてはこういう県から学ぼう、テーマAに関してはこういう県から学ぼう、ということで、お互い学んでいくことができるんじゃないかと思います。
全てのテーマにベストな地域はありません。あるテーマではベストでも別のテーマではワーストだったりするので、お互いベスト地区に学んでいこうと。
それから、例えば、テーマBが大腸がんとしますよね、大腸がんの専門家は多いけれども治療成績はやや低目ということもあるわけですね。
なので、あるテーマに関して患者さんにもたらされた成果が高いのか、それを提供するための努力がたくさんなされているのか。どちらで評価をするのか、ということもよく見ていく必要があります。
さて、こうした差があるんですけれども、皆さんが取り組もうとしているのは、差をなくして行こう、問題を見つけて問題を解決して行こうということ。そして、今日いただいているテーマは、第3期計画に向けて、ということです。
で、早速、何をすればいいんだということでコツを聞きたい、ということになるかもしれませんけれども、まず、考え方をしっかり確認していくということが必要だと考えます。
何のためにがん対策をやっているんだろう。がん計画は何のためにあるのか。そんなこと当たり前だから、と言われるかもしれませんが、皆さん、どのように思われるでしょうか。何のためにがん対策をやっていらっしゃいますか。
それぞれの立場の、議員の方、行政の方、医療提供者の方、患者さん、ボランティアの方に、伺っていくと、究極には患者さんのために、それから患者さんの命、生活の質、社会での尊厳のために、ということになると思うんですけど。ついついときどき、「対策が必要なのはわかっているじゃないの」、「今までこれやってるから」、「前からやりたかったことがやれるんだよねぇ」、「仕事で『これやれ』って言われたからです」とか、なりがちだと思うんですけど。ちゃんと原点を考えておく必要はあると思います。でないと、やっているだけになってしまう。
そして、さらに問われなくてはならないのは、これまでのがん計画を作ったことで成果は出たのか、と。
がん計画は、国ではもう9年やっていますし、都道府県別としても、第1計画、第2計画で8年やってきているわけですけれども、んー、成果が出たんだろうか。一生懸命やっている皆さんの前で水を差すつもりはないんですけれど、第3計画をやるに当たって、さらに成果を上げるために、成果が出たのか、出たとしても何が出たのか、何が成果をもたらしたのか、足りないとしたら何を加えたらいいのか、考えていく必要があると思います。
皆さん、どういう風に思いますかね。実際私もがん対策に取り組んでいる部分があるので、すごく成果が出ていると言いたいところなんですけれど、謙虚に振り返ってみるとですね、なかなか証拠が少ないな、と思うところもあります。出ているということも少しは説明できるかもしれません。けれども、出ている証拠が不十分だなぁと思って反省したり落ち込んだりすることもあるのが事実です。
皆さん、いかがでしょうか。
よく私が聞く答えは、対策は打っているよ。私も頑張っている。でもよく考えたら、患者さんに届いているかどうか、それについては自信ないなぁという答えがあります。
このままがん対策を続けて、皆さん努力していくためには、もっともっと成果感が出てくるのが大事だと思います。
汗をかいて、汗をかいて、汗をかいて、成果が出て来て、一つ明かりが見えて来て、つぼみが見えて来て、いくつか花が咲いたのが見えて来て、大きな大きな成果がその先にあるような気がするという感覚が大事じゃないかな、という風に思います。
確かだと思われることは、もうがん対策は十分だとか、やめていいとか、もう完璧だということはないと思います。
先ほどのデータを見てもすごく差がありますし、不完全なところがある。改善の余地がある。
そして、多くの方が対策を打たれてからも患者さんに十分届いてないと感じてらっしゃるということ。
それは、やっていることが効いていないか、必要なことが抜けているか、どちらかかもしれないということで、第3期計画を作ってからでは遅いですから、作る前にですね、しっかり足元を固める必要があると思います。
その際大事なのが、先ほど出て来た図をもう一度見ますと、この中で一番何が大事かと言うことです。アウトカムとプロセスとストラクチャー、という図を先ほど見ましたけども、アウトカムっていうのは患者さんの状態がどうなっているかです。
プロセスっていうのは、患者さんに提供されている医療などの状況です。
ストラクチャーってのは、そのサービスを提供されるために確保された資源です。人とか物とか金とか施設とか、などです。
全部大事と言えば全部大事ですけども、アウトカムが、患者さんが良くなるためにやっているので、いくらこの左側のものが良くても右側が変わらないと、意味がないとは言わないですけれども、十分に仕上がったとは言えないのではないかと言うことです。
先ほど、冒頭ご挨拶に立たれた菊井さんからも、アウトカムという言葉が出ていましたけども、ここで私たちはカタカナで難しくてわかったようなわからない言葉なんですけれども、アウトカムっていうのをやっぱり頭に叩き込む必要があると思うんですね。
アウトカムっていうのは、患者さんが助かったか助からなかったか、患者さんの生活の質が良くなったか良くならなかったか、要するに、関西弁で言ったら、「で、なんぼのもんじゃい」というところですよね。
ま、東京とか、結構たてまえ主義でやっています。関西人はなかなかきついので、「で、なんぼのもんじゃい」というところが、あると思うんですけど。アウトカムっていうのはそういうことで、結局どうなったんですか、ためになったんですか、ということです。それを問い続けるのが、患者さんはじめ、ここにいらっしゃっている皆さんの大事な役割だと思います。
患者さんの悩み軽減ということであれば、「患者さんの悩みが軽減されたんですか」っていうことを問い続けることが、すごく大事だと思います。
窓口を10か所開く計画で、10か所を開きました。計画以上に12か所も開設しました。120点です。って皆さん思うでしょうか?
で、その窓口で何が行われてるの。その窓口に人は行ってんの。窓口にはどんな人がいて、どんな相談してくれてんの。で、患者さんが行って、それで解決したの。解決したかしないかが一番の問題ですよね。
だから、解決したかどうか。窓口が100か所200か所になっても、それだけでは意味がない。ですので、問うべきは、患者さんに届いているか、アウトカムを物差しで測定するということ。アウトカムをしっかり考えていくというのが、患者中心だと思います。
じゃ、それを、どうやったらできるかっていうのが、今日のグループワークにつながるんですけれども。それを忘れなくするために、ツールがあります。この施策指標マップをグループワークでは何て呼んでいるかな、ま、要するにこのマップが大事です。
これ、一番右側に分野アウトカムというものを書くことになっていて、たとえば、「緩和ケア」ですと、「患者さんの痛みが取れている」っていうことをゴールに置いたりします。
中間アウトカムは、「緩和ケアが十分行き渡っている」みたいなサービスの状況を書きます。一番左側には、それを提供するための手立て、スキルのある緩和ケアの専門家が十分に地域に必要な人数居る、みたいなことを書きます。
そういう風に書いておくと、ゴールを忘れないということです。必ず、右側の、患者さんにとって大事なところのゴール、「痛みが取れている」というところから書いて、それに至る道を真ん中に書いて、それのために必要な対策を左側に書く…とつながりで考えていきます。
これが、国の計画を今のフォーマットに書き落としたものですけれども。後で読んでいただくといいんですけれど、これは、国の計画の手術療法、化学療法、放射線療法の推進とチーム医療の充実に関する分野で、そのゴールはいろいろあるんですけれども、一つは「患者が受けている医療に安心して納得できている」ことでして、今回その指標を測ったところ、80%の人がそう思っていると分かったというところで、今後この数値が上がっていくのか、下がっていくのかによって、評価がされていくことになります。
こういう風に、患者さん中心主義で、患者さんが求めているものを、患者さんアウトカムを計測してモニターしていく仕組みができたので、第3期計画にはこれをしっかり入れていく必要があるというところです。
各都道府県でこうした取り組みが始まっていますが、一つ今日ご紹介するのは沖縄県の試みです。2月19日の会議で発表された資料をご紹介します。
沖縄県ではさっきと同じモデルを使っておりまして、20ぐらいのがん対策の分野に関しての分野アウトカム、中間アウトカム、個別施策の一覧表を作っております。
ちょっと見えにくいのでご紹介しますと、これは、3療法の充実とチーム医療分野ですけれども、ゴールを「受けた医療の評価」にしております。今回、計測が沖縄では終わりました。受けた医療を満足している患者さんの数が77.2%でした。そして、それに至る道として、チーム医療を受けたとする患者さんの数が90.7%、医療者から見て医師が医療スタッフに耳を傾けているっていうのが92%、医療スタッフが医師に意見できると考えているのが6割ぐらいですね。
これは、大規模な医療者調査を沖縄で行いました。お医者さんは、医師以外のスタッフの言うことをよう聞いていると思っているんですけれども、お医者さん以外のスタッフは6割ぐらいしかお医者さんが聞いてくれると思ってないという、このギャップがあるんですね。沖縄では、このギャップのずれがなくなった時が良い医療が行われているという風に指標を設定したというユニークなところです。
同様にですね、これは就労支援・社会的問題の指標です。これも、沖縄ではモデルを作って、アンケートを行って計測が終わりました。生活の不安を感じた人が71%、周囲の人の対応に傷ついたという人が14.0%。生活の不安を感じる人が減って、周囲の対応に傷ついたという人が減るということを、沖縄は目指して、これを計測しております。
それから、経済的問題に関しては、お金の問題で治療を断念した人は3.8%、金銭的援助を受けた人が13.6%。こうした計測が行われて、これを下げていこうとしているわけです。
就労に関して、仕事を休んだ人、復帰できた人の数が測られて、これをこれからモニターしていくということです。
そして、こうしたものが全分野に作られているんですけれども、沖縄では今度はがん種別の目標も立てられました。
大腸がんに関しての一例ですけど、今死亡率が出ています。これを改善しようということ。死亡を減らすためには早期診断を増やさなきゃいけない、生存率を上げないといけないということで、計測して、これを死亡率を下げ、早期診断を上げ、生存率を上げていく、ということを見ていく、というところです。
先ほどから見ているこのフォーマットをしっかり頭に入れて頂きたいんですけども。例えば、三療法とチーム医療に関して、滋賀県でも近畿2府4県でも、沖縄県でも北海道でも、北海道から沖縄までこのフォーマットで最終的な目標、中間目標、それからやってる施策っていうものが同じように計測されると、同じ地域の中でどういう変化があって何が効果をもたらしたかわかりますし、47都道府県比較すると、どこの県が良くなってるか、どこはうまくいってないが。うまくいっている県は、何の対策をしているところが共通的に結果が良くなっているなぁとか、わかってくるようになるということで、これを共通でやっていくのが大事だと思われます。
第3期計画をどう作るかなんですけれども、もうこういう集まりがなされている地域で申し上げるのは釈迦に説法なんですけれども、誰がどのようにどんな形に作るのか、だと思います。
ゴールは、患者さんのアウトカムを保証する計画だと思います。第1期計画、第2期計画が作られて、皆さんも関与されたり、後から読んでみて、もうちょっとああいう風にしとけばいいなぁとか、ああなっていればいいのになぁとか、ちょっと積み残した課題があるなぁとか、じくじたるものがあるなぁとか、いろいろ考えてらっしゃると思うんですけれど、計画は作っただけじゃだめですので、絵に描いた餅にしてはだめですし、ちゃんとしたものを作らなきゃいけない。
結果を生む計画になるかどうか。それはみんなで作ることが大事だと思いますが、どういう風に作ればいいかは、六位一体で、ということだと思います。今日も、多くの県会議員、政治家の方が来てらっしゃいます。行政の方も2府4県から来られています。医療提供者も来られています。多くの立場で一緒に作る。誰かがパパッと作っても、いざ実行の時に実行力がないと思います。みんなで作るから良いものが作れるし、実行力がある。六位一体という言葉がよく言われるんですけれど、これ、我々のイベントでの図式なんですけども、今日もこの後のグループワークでこういう姿が見られると思います。さまざまな立場の人が一緒に作って、一緒に議論していって、こういう形で作ると、みんなそれぞれが、私が作ったものだから、私が実行の時も担っていかなければいけないと思うんじゃないでしょうか。
どのように作るか。これはWHOのガイドラインとか、さまざまな計画の作り方の教科書がありますけれども、要するにシンプルに言いますと、現状を知って、計画を策定して、実行をして、評価をしましょう、ということが書いてあって、それに関して、いろんなパターンでステップの解説が行われています。
これ、のちほど見て頂ければいいんですけれども、大体この3ステップとなり、それをちょっと分解すると、こういう形になります。よくデータを集めて、課題を抽出して、目標を設定して、計画を作っていきましょう、と。で、中間報告書を作っている県は、そこのところで、データの収集もある程度できていると思いますし、今日のような地域サミットとかタウンミーティングで課題を抽出することもできると思います。課題が良くわかれば、目標も設定できていくという風に思います。この時に、さまざまなツールは提供されていますので、ご活用なさると近道だという風に思います。
その中で常に重要なのが施策指標マップです。データ収集をしたものが集められていますし、今日のような議論をするときのベースにもなりますし、目標設定のツールにもなります。
計画を策定するベースにもなりますし、評価のときのベースにもなっていくと思います。実際、こうした形で図が作れれば、このままそれを、施策が文字に起こせれば、計画になります。なので、施策指標マップを作ることは、第3期計画を作るということと近いんだと思って頂ければいいんじゃないかと思います。
で、今日のグループワークは、それに近いことがなされると思います。六位一体で、それぞれの立場の経験と知恵と学びを持ち寄って、アウトカムを忘れずに、施策指標マップという便利なツールを使って考えていくことが、施策の質を高めて、実行力を高めて、結局は、患者さんに届くということを担保していくということになると思います。この図ができれば、それを文字に起こせば、第3期計画になるということですので、今日のワークはすなわち、第3期計画のウォーミングアップということにまさにつながるんじゃないかという風に思います。
本当に皆さん、こうした形の集まりは意義深いと思いますので、是非、今日の成果を各地に持ち帰って頂いて、各地に広げて頂いて、各地の計画力を高めて、成果を出していただければと思います。
私のお話は以上です。ありがとうございました。